歌舞伎座の夜
先日、お誘いいただいて、歌舞伎見物に。
子ども向けの解説付きで、短い演目を見たことはあるけれど、本格的に、ましてや歌舞伎座に足を踏み入れるのも初めて。
何を着ていくのか?やっぱりきものなのか?ご飯はどうするのか?そもそもわかるのか?頭の中は?がいっぱいなんだけど、幸い(と言うのも違うと思うけど)毎日バタバタしているので、その日のことはその日考えるしかなく、当日を迎える。
思いがけなく良い席で、役者の一挙手一投足に目は奪われ、三味線や太鼓、琴といった和楽器の調べやその音色、静かではあるけれど、凛として、心の深いところまではいっていくような、自分の日本人としてのDNAを呼び覚まされる感じ。
役者さんは所作がほんと―に美しくて。
手の動かし方、ちょっとした体の揺れ。でも、揺らがない。体幹なのかしら…と思うけど、なんていうか、鍛えるとは違うレベル。トレーニングじゃないんだよ。なんていうか、体に浸透させているっていうか、おどりが美しいの。本当に。日本舞踊ってすごい。ゆっくりな動きほどむつかしいって言う。ムスメがバレエをやっていた時に、ゆっくりな動きの踊りの時に息が切れていて、なんでだろうか?と思ったけれど、ゆっくりな方がむつかしいらしい、と言っていた。あの揺るがなさ、そして、あんなに揺るがないのに人を引き付ける感じ。本当に圧巻でした。
そして、その美しいさまと同じくらい、非日常にいることに自分が華やいだ気持ちでいることを感じだ。
梨園の美しい奥様達。着物をお召しになった方。仕立ての良いスーツを着て、きちんとメイクしたご婦人方。ちゃんとおしゃれして、華やかな場にいること、いつもとは違う自分でいることがこんなにも私を満たすのかと、なんだか、うれしくなった。そして、この時間が私にもあってもいいよね。いや、必要なんだよって心から思った。
いつもとは違うって大事よね。
わかっちゃいるけど、お母さんである自分の時間が長すぎて、役割を取っ払った「わたし」が何を思い、何を望むのか、正直、もうわかんなくなってしまっています。あ、だからってお母さんの時間をないがしろにしようとは思わないし、それはそれで、私に与えられた大切な仕事。それはそれで悔いのないように全うしたい。
だけど、ないがしろにしている私の部分ももうちょっと手をかけ眼をかけてあげてもいいかな。…と思ったのでした。
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